「民事執行法の改正に関する中間試案」に関する意見

(印刷用PDF)

「民事執行法の改正に関する中間試案」に関する意見

住所   
氏名  年齢  性別  職業 

 法制審議会民事執行法部会がとりまとめた「民事執行法の改正に関する中間試案」について、次のとおり、意見を述べます。

1 財産開示手続の実施要件の見直し(中間試案の第1の1)について
 「支払督促や公正証書について、財産開示手続の申立を認める」ことには、反対です。
 支払督促については、消費者金融業者や債権回収会社等が、時効により消滅した債権に基づき、申立をしていることも少なくありません。
 また、公正証書は、債務者の知らないうちに、白紙委任状で作成されていることもあります。利息制限法や出資法に違反する高利の貸付をする者が、公証人に対し、そのことを隠したまま、公正証書を作成していることもあります。
 したがって、支払督促や公正証書については、財産開示手続の申立を認めるべきではないと考えます。
 罰則の強化は、財産開示手続で嘘をついた場合に限るべきです。出頭しなかったなどの場合にまで刑事罰を科すことには、反対です。
 また、財産開示手続は、債務者のプライバシー等に関する情報の開示を強制するものなので、この手続を実施するのは、その必要性がある場合に限るべきです。先に実施した強制執行がうまくいかなかったなどの要件をなくして、安易に財産開示手続の開始を認めることには、反対です。

2 第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度(中間試案の第1の2)について
 「債権者が、公的機関から、債務者の給与に関する情報(勤務先の名称、所在地)を取得する制度」をつくることには、反対です。
 収入が低く、財産をもたないために、支払ができない債務者にとって、生活の糧となる給与の差押をされると、直ちに生活ができなくなります。仕事をやめざるを得なくなることもあります。これまでも、給与の差押は、高利金融業者の債務者への威嚇の手段として濫用されてきました。ここには、高利金融業者が零細な債務者を威嚇するのに国が手を貸すのか、という問題があります。もし仮に、これが「養育費の不払いへの対策」だというのであれば、債権者が養育費を請求する場合に限定した制度にすべきです。
 また、第三者から債務者の財産に関する情報を取得する制度をつくるのであれば、給与に関する情報よりも、株式、社債、投資信託受益権等に関する情報や、不動産に関する情報こそ、対象にすべきです。そのような財産をもっていて、支払おうと思えば払えるのに、あえて払わないような不誠実な債務者こそ、問題にすべきです。
 法人(事業者)の売掛債権は対象にしないのに、個人(給与所得者)の給与債権のみを対象にするというのも、おかしなことだと思います。
 以上のことから、債権者が、公的機関から、債務者の給与に関する情報(勤務先の名称、所在地)を取得する制度をつくるべきではないと考えます。

3 差押禁止債権をめぐる規律の見直し(中間試案の第5の1)について
 「給与について、一定の金額まで、その全額を差押禁止とする」考え方には、賛成です。これは「引き続き検討する。」というのではなく、今回の民事執行法改正で、必ず、導入すべきです。
 債務者の生活の糧となる給与の差押がされることにより、債務者とその家族(世帯)が、生活保護の基準も下回るような生活をしなければならなくなるというようなことがあってはいけないと思います。
 もっとも、このような考え方に対しては、複数の仕事をかけもちしている債務者について、必要以上の保護を与えることになるのではないかという問題点が指摘されているようです。
 しかし、複数の仕事をかけもちしている人は、むしろ、そうしなければ、生活ができないような状況に置かれていることが多いのではないでしょうか。複数の仕事をかけもちしている人は、保護する必要がない人たちであるなどと言ってしまっても、よいものでしょうか。
 やはり、給与が低額であるときは、そして、その給与が差し押さえられたときは、大多数の人は、直ちに生活が成り立たなくなってしまうはずです。もしかしたら、たまたま差し押さえられた給与は低額でも、他に高収入を得ていたり、財産をもっていたりして、保護する必要のない人も含まれているかもしれないからという理由で、この大多数を保護しなくてもよいということにはならないと思います。
 以上のことから、給与について、一定の金額まで、その全額を差押禁止とする考え方を、今回の民事執行法の改正で、必ず、導入すべきであると考えます。

以 上

(印刷用PDF)


トップページ  *活動*   *情報*   *資料*